
こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。
自己破産を検討している方にとって、「退職金もすべて失うのでは?」という不安は非常に大きなものです。しかし実際には、退職金の一部は「自由財産」として法律上保護され、手元に残せる可能性があります。本コラムでは、自己破産と退職金の関係、自由財産として認められる範囲、注意すべき点や実務での扱いを弁護士の視点からわかりやすく解説します。退職金を守るための具体的な対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
自己破産でも退職金の一部は残せるって本当?
自己破産と退職金の関係とは?制度の基本を解説

自己破産とは、簡単にいうと、借金の返済を法的に免除してもらう手続です。自己破産を検討されている方の中には、自己破産をすると全ての財産を取られるのではないかと思っている人もいるかもしれません。
もっとも、自己破産をしたとしても、すべての財産を手放すわけではありません。
法律上、破産者の最低限の生活を守るため、「自由財産」と呼ばれる一部の財産については補油が認められており、例えば、埼玉の裁判所においては、99万円以下の財産は自由財産として、手元に残せるという運用を取っています。
なぜ退職金は一部残せるのか?制度趣旨と生活再建の視点から解説

自己破産後の生活を守るために退職金が重要な理由
自己破産後も、債務者には生活が続きます。退職金は老後資金や再出発のための原資となるため、一定額を保持できるようにすることは、生活再建の観点からも合理的といえます。
裁判所や破産管財人が重視する生活維持と再建の観点
裁判所や破産管財人は、破産手続によって過度に債務者の生活が困窮しないよう配慮します。特に、すでに退職している人や高齢者については、退職金は、生活保障的な意味合いが強くなります。
退職金の支給タイミングと注意点
注意すべきなのは、自己破産申立前に退職金が実際に支給された場合には、全額が「現金資産」として扱われる可能性があることです。この場合は、20万円をこえた場合の預貯金や、99万円を超える現金は、原則として回収の対象となってしまいます。
支給前と支給後では評価方法が異なるため、タイミングによっては不利になることもありますので、注意が必要です。
退職金をめぐる自己破産の実務例と注意点

退職前に自己破産するケース
例えば、自己破産申立時に退職予定である場合、退職金見込額を裁判所に提出し、退職金見込み額の4分の1が破産者の財産と評価されます。そして、受け取る予定の退職金の4分の1にあたる金額が20万円を超える場合は、回収されることとなります。
見込み退職金がある場合の財産評価と対応
退職予定が明確でない場合でも、在職中であれば「退職金見込証明書」の提出を求められることがあります。企業から証明書を取り寄せ、裁判所に提出することで評価額が決まります。なお、在職中で当分退職金を受け取る予定がない、退職の時期が遠い襲来である場合などは、退職金見込み額の8分の1が破産者の財産として評価されます。
退職金を一括で受け取った場合の扱いとリスク
自己破産前に退職し、退職金を受け取っていた場合は、その全額が財産として扱われおそれがあります。この場合、自由財産の99万円の枠からはみ出た金額は回収され、債権者への配当に充てられるため、タイミングに注意が必要です。
退職金の扱いで失敗しないために弁護士ができること

自己破産の申立前に退職すべきか?弁護士が判断をサポート
申立前に退職するか否かは、退職金の扱いに大きく影響します。弁護士に相談することで、時期や手続の戦略を誤るリスクを回避できます。
財産目録の記載と退職金の計上ミスを防ぐには?
財産目録には、退職見込み額の記載が必要です。不正確な記載や漏れがあると、手続に支障が生じる可能性があります。弁護士が作成をサポートすることで、裁判所への正確な情報提供が可能になります。
弁護士に相談することで退職金を守る最適な方法が見つかる
一人で悩まず、経験豊富な弁護士に相談することで、退職金を可能な限り守りながら、円滑な自己破産手続を進めることができるといえます。
まとめ

退職金の扱いは、自己破産手続における重要なポイントのひとつです。支給時期や評価方法により大きく結果が異なるため、個別の事情に応じた判断が不可欠です。経験豊富な弁護士に相談することで、生活の再建に向けた最適な対応が可能になります。借金の返済にお困りの際は、迷わず、まずは専門家へご相談ください。
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適切なアドバイスを受けることで、安心して問題を解決する道筋が見つかります。
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