亡くなった方と疎遠の場合、どういった財産が残されているのか全くわからないケースが多々あります。また、親子といえども、同居していない限りは、預金の詳細がわからないという話もよく聞きます。そこで、本コラムでは、被相続人の財産の調査方法について、ご自身ができる方法を、埼玉の弁護士が解説します。

相続財産にはなにがあるか


相続財産には何があるでしょうか。
価値がある物であれば、すべてが相続財産になりますが、一般的には、以下のようなものが相続財産になります。

※もちろん、価値のない物でも相続財産と言えますが、一般的に価値が無いとされるものは、遺産分割では相続財産と定義することは少ないかと思います。

・不動産(自宅、ビル、土地、農地、山林など)
・預金、貯金、定期預金
・株(株券、証券会社に預けてあるパターンもあり)
※非上場の株も財産
・車、オートバイ
・債権
※例えば、知人への貸付金、親族への貸付金
・家財道具
・装飾品(時計、宝石など9
・積立金
・ゴルフ会員権
・現金
・退職金

相続人が把握していない財産は以外とあります。あとから出てくるということもあります。もっとも、住んでいた家をくまなく調査すれば、大体はヒントとなるものが見つかります。
また、預金の履歴をたどれば、わかることもあります。

預金で言えば、インターネットバンキングは通帳が発行されないことがあるので、家族の誰も把握していないということがありました。申込書やメールの履歴から、かろうじて、「インターネットバンキングがあるようだ」ということがわかったという事例もありました。

また、バブル期に買ったリゾート地や山林、原野等は見過ごされやすい財産です。昔買ったの、本人忘れている、家族も聞いたことが無いというパターンです。管理費用の請求や、別荘のパンフレット、固定資産税の請求から明らかになることがあります。

相続財産調査のために必要となる資料


まずは、自分が相続人であるということが明らかで無いと、どの機関も回答をしてくれません。そこで、以下のような書類が必要となります。

・ご自身の戸籍謄本
・被相続人(死亡した方)の戸籍謄本(除籍謄本)

配偶者や親子であれば、これだけで相続関係は証明できます。
しかし、兄弟や、甥姪という場合は、さらに書類が必要です。

・被相続人が、出生してから死亡するまでの連続したすべての戸籍謄本(除籍謄本)

その他に、例えば金融機関で要求される書類としては、

・ご自身の印鑑証明書
・被相続人の住民票の除票
・ご自身の写真付身分証明書(免許証など)

戸籍謄本はどこでとるのか

各人の本籍地を管轄する役所で取得できます。
本籍地が遠い場合は、郵送で請求することもできます。例えば、埼玉に住んでいるが、戸籍が北海道にあるとか秋田にあるとか、そういうパターンでも、わざわざ行く必要もありません。また、専門家に依頼しなくても、相続であれば取得自体はできます。

例えば、東京都江東区の「戸籍の郵送による請求方法について」
https://www.city.koto.lg.jp/060303/kurashi/jumin/shome/koseki/5074.html

借金も相続するのか


相続「財産」とは言えませんが、借金も相続人が相続します。
それでは、借金の調べ方はるのでしょうか。

借金は、通帳の履歴や、家にある請求のはがきや領収書から推測することになります。
また、場合によっては、株式会社シー・アイ・シー(以下、CIC)等の信用情報機関(※)に、相続人として開示請求をします。

※クレジット会社の共同出資により、昭和59年に設立された、主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。
また、CICは、割賦販売法および貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けた指定信用情報機関です。

知人等への借金は、借用書が残されていない限り、わからないこともあります。

借金の方が多い場合は、「相続放棄」が選択肢にあがってきます。

預貯金を調べる方法


被相続人が、どこの銀行や信用金庫に口座を持っているかわかる方は最寄りの支店で、相続人として口座の残高や履歴を確認できます。
上記で確認した書類を持って、手続きにいけば以外と簡単に手に入ります。

郵便物などからも金融機関がわからない方は、手当たり次第探すという方法もあります。
まずは、大手銀行。みずほ、UFJ、りそな、埼玉りそな、ゆうちょ等。
最寄りの支店で、相続人であることを明らかにしたら、口座があるかどうかは答えてもらえます。信用金庫も同様です。

不動産を調べる方法


不動産がわからないという事はなかなかないかもしれませんが、通常は、権利証や契約書、登記簿謄本、固定資産税納税通知書などが自宅にあります。

また、同一市町村であれば、役所で名寄せ帳を取り寄せることができます。
名寄帳とは、課税対象になっている土地や家屋の不動産を、所有者ごとに一覧表にまとめたものです。
参考
https://www.hirakata-call.jp/faq/detail.aspx?id=86

不動産の登記簿謄本は、法務局にて、「誰でも」取得できます。現在の名義や、抵当権の有無を確認するためも、登記簿謄本の取得は必須になります。

株式を調べる方法


上場会社の株であれば、ほとんどは証券会社経由で購入しているので、証券会社に問い合わせることで、持ち株等の情報が開示されます。

まとめ

結局、相続調査をするには、相続人であることを証明し、各機関に問い合わせるということを地道にやる必要があります。
以上が、手続きの流れになります。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
弁護士のプロフィールはこちら