相続が「争族」になる原因の一つとして、相続人でない関係者が被相続人の療養・看護を行った(かつては、「長男の嫁」などに多く見られました)にも関わらず、相続の権利が無いことから、何らの対価が得られないことが指摘されていました。
これについては、平成19年に「特別の寄与」ないし「特別寄与料」として法制化されました。この「特別寄与料」について、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、「相続専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が、特別寄与料について解説を行います。

特別寄与料について

特別の寄与とは

特別の寄与とは、民法1050条で、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。」と定められている制度です。

第十章 特別の寄与
第千五十条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

「特別の寄与」制定の経緯

相続人の中で被相続人を療養看護した場合には、「寄与」という制度があります。

(寄与分)
第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

4 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

しかし、相続人ではない親族(例えば、長子の配偶者)が被相続人を療養看護しても、相続の権利が無いことから、何らの対価を得ることはできませんでした(遺言などの方法がある場合は別途可能です)。
そのため、相続において、被相続人に貢献したにもかかわらずそのことが評価されないため、しばしば紛争の原因となっていました。
そこで、このような、相続人でない親族が被相続人を療養看護した場合にも、法的に評価することができるように、「特別の寄与」の制度が制定されたのです。

誰が、誰に対して、特別寄与料を請求できるか?

特別寄与料の請求権者

特別寄与料を請求できるのは、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族」です。
「親族」とは、

(親族の範囲)
第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

とされています。
従って、親族でない方、友人や近隣の方などは、被相続人の療養看護に貢献したとしても、特別寄与料としての請求はできないことになります。
また、相続人は相続によって財産を取得しますし、寄与の制度がありますので、のぞかれています。

特別寄与料を請求されるのはだれか?

特別寄与料は、「相続人に」請求することになります。
従って、請求されるのは、被相続人の相続人ということになります。

どのように特別寄与料を請求するのか?

条文上は、協議を前提としていますので、まずは協議を試みるのが通常と思われます。
しかし、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することになります。

いつまでに家庭裁判所に請求する必要があるか?

条文上は、「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。」としていますので、この期間内に請求することが必要になります。
期間として決して長くないので、注意が必要です。

特別寄与料とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの相続に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、相続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、相続専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・相続専門チームの弁護士は、相続案件や相続に関する法律相談を日々研究しておりますので、特別寄与料に関して、自信を持って対応できます。

最後に

特別寄与料でお悩みの皆様は、ぜひ、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所にご相談ください。

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また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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