企業の資金繰りについての相談でしばしば出てくるのが、「手形が不渡りになる」というフレーズです。
今回は、このような場面に遭遇してしまった時にどのようにすればよいか、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、中小企業経営支援に注力し、また「法人破産専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説を行います。

会社経営の不安

会社を経営していると必ず直面するのが「資金繰り」です。
そして、「資金繰り」の際の支払いに替えて使われることが多いのが「手形」です。
もちろん、決裁システムが深化した現在では支払い手段として手形が占める割合はかなり低下していますが、今でも手形を使った決済は行われています。

手形の不渡り

手形とは

そもそも手形とはどのようなものでしょうか。
多くの場合「手形」は、「約束手形」を意味することが多いのではないでしょうか。
この約束手形は、手形法という法律で、次のように定義されています。

第七十五条 約束手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字
二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束
三 満期ノ表示
四 支払ヲ為スベキ地ノ表示
五 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
六 手形ヲ振出ス日及地ノ表示
七 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名

非常に簡単に説明しますと、支払のために渡す、金銭に替わる証券というイメージでしょうか。
定められた期日に支払地(多くの場合銀行)に持ち込めば、手形の受領者が、支払を受けられるということになります。
ただし、支払期日に、手形を振り出した側の口座の残高が足りない場合には、支払がなされないことになります。

手形の不渡りとは

支払期日に、手形を振り出した側の口座の残高が足りない場合には、支払がなされないことを「不渡り」と言います。
形式的な理由により不渡りになってしまう場合もありますが、残高不足での不渡りは、その振出者の信用に非常に大きな影響を与えます。
特に、6か月以内に2回の不渡りを出してしまうと銀行取引が停止になってしまいます。

手形が不渡りになってしまうとどうなるか

以上のように、手形の不渡りは、信用に非常に大きな影響を与えます。
6カ月以内に2回の不渡りを出してしまうと銀行取引が停止になってしまうことを記載しましたが、1回目の不渡りであっても、銀行が預金引き出し・送金に応じない、取引先が手形を拒絶する、融資を受けられない、などの事実上の不利益が発生します。

手形が不渡りになってしまったら

手形が不渡りになってしまったら

手形の不渡りを出してしまった場合、特に2度目の不渡り場合には、会社の経営を続けることは難しいと言わざるを得ません。
この場合、残念ですが、会社の清算を検討せざるを得ないと考えられます。
そして、先に見た通り、手形が不渡りになる原因としては資金繰りの悪化であることが多いと考えられます。
従って、手形が不渡りになってしまった場合で、資金繰りに改善が見込めない場合には、破産手続を検討することが必要になります。

破産手続の流れ

①受任
②現地の調査・従業員に対する説明
③受任通知の発送
④賃貸物件の明け渡し、財産調査、リース品返却、申立書作成
⑤裁判所に対する破産申立書の提出
⑥破産開始決定
この後は、破産管財人に管理処分権が移ります。
⑦破産管財人との面接
⑧資産の処分・配当
⑨債権者集会(配当はこの後になる可能性もあります。また、複数回)
⑩破産終結決定

グリーンリーフ法律事務所が破産手続を申し立てる場合の標準的な期間

※ ご依頼を受けてから、破産申立書の提出までにかかる時間は、ご依頼者の方が、破産申立てに必要な書類をどの程度の時間でそろえていただけるかで大きく異なりますが、一般的には1週間~2ヶ月程度です。この間、弁護士が債権者、従業員の方などに対応します。
※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~1年程度です。

手形不渡りとグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの企業に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、中小企業の悩みに精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産管財人を経験した弁護士も複数在籍しています。

手形不渡りの可能性にお悩みの経営者の方へ

事業がうまくいっている場合で、たまたま手形不渡りになりそうという場合には、まずは、金融機関等への相談を検討すべきと考えられます。
他方、事業がうまくいっていない場合で手形が不渡りになりそうというのは、事業自体が立ち行かなくなるか否かの瀬戸際に来ていると言えます。
この場合、破産を検討することが必要になりますが、破産は決して恥じる制度ではありません。

手形不渡りが実際に起こる前にご相談を

実際に手形が不渡りになってしまうと、金融機関は、場合によっては資金の払い戻しに応じない可能性があります。そうなると、破産手続のための費用を工面することもできないことになります。
従って、手形が不渡りになる前に資金を引き出し、弁護士に相談することが必要です。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、地元埼玉で30年以上の実績があり、各分野について専門チームを設けています。ご依頼を受けた場合、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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