ある法律相談で、「8年以上前の工事代金を回収したい」というご相談がありました。
工事代金の消滅時効は2年ですので、このご相談では、「残念ながら、対応することが難しいと思います」という回答を致しました。

民法上、債権の消滅時効は10年とされていますが、次の各債権などは、より短い消滅時効期間となっていますので注意が必要です。

●3年のもの
工事の設計、施工、監理を業とする者の工事に関する債権

●2年のもの
生産者、卸売商人、小売商人の売買代金債権、請負工事の代金債権

●1年のもの
 運送賃に係る債権、旅館、料理店、飲食店等の宿泊料、飲食料、入場料等の債権

時効期間が近付いてきている場合には、次のような対処をして、時効を中断することになります。
●請求(訴訟の提起)
●差押え、仮差押え、仮処分
●承認(債務者が、債務の存在を認めること。債務者に書面などを書いてもらうなどして、証拠に残しておくことが必要です。なお、この方法は、時効期間が経過してしまった後でも有用です)

時効期間が近付いており、訴訟や仮差押えをする時間が無い場合には、取り急ぎ内容証明郵便などで催告し、その後6ヶ月以内に訴訟の提起などを行うことで、時効期間を中断させることが出来ます。

以上のように、時効期間は案外と短いですので、債権管理には注意が必要です。