がんに罹患し多額の保険金を受領したが、自由財産の範囲を超えて拡張が認められた事案

依頼者様は、配偶者が組んでいた住宅ローンの連帯保証人になっていました。主債務者である配偶者が多重債務に陥り支払不能状態になったことから、依頼者様が連帯保証人として返済義務を負うことになりました。

住宅ローンの残債務は2000万円近くあり、また、同時期にがんに罹患され就労が難しい状況であったため、配偶者とともに自己破産手続をとることになりました。

依頼者様はがん保険など複数の医療保険に加入されており、がんの診断により一時金として500万円を受領していました。この保険金は、手術・入院・治療費・生活費として費消され、破産手続申立時には300万円ほどとなっていましたが、その他手術の見舞金、入院保険金、所得補償保険金など、継続して受領する予定の保険金がありました。

自己破産手続では、自由財産(破産者の財産として没収されず、手元に残せる財産)として認められる金額が99万円までとなっています(基準時は破産手続開始決定日)。この財産には、今ある現金や車などの動産の他、退職金見込額の一部、保険解約返戻金なども含まれます。

今回のケースでは、既に受領した保険金の他、今後の保険金請求権も財産とみなされるものでした。これを含めると、破産手続開始時点での依頼者様の財産は、総額500万円を超えていました。

依頼者様は手術後も他臓器への転移があったため、裁判所・破産管財人へは、今後かかる治療費・生活費の見込額や、完治の見通しがたっていないことを報告し、自由財産の範囲を超えて拡張を認めていただくよう上申しました。

結果、保険契約ずべて、受領予定の保険金全額、受領済みの保険金の一部100万円(当面の治療費・生活費として)が、自由財産として認められ、約170万円が住宅ローン債権者への配当金になりました。

また、債務は配偶者の連帯保証のみでしたので、免責不許可事由はないとして、免責許可決定となりました。

配偶者とともに破産手続・免責手続が終了し、依頼者様のご不安を一つ取り除くお手伝いができたかなと思います。