火災の偶然性が争われ、ほぼ満額の保険金を和解によって取得した事例

事務所兼自宅に隣接する作業所からの出火により、自宅で寝泊まりしていた事務所経営者の取締役配偶者が焼死したために、火災保険金請求及び死亡保険金請求した事案です。
保険契約者である法人代表者が各保険会社に、保険金請求をしましたが、各保険会社は、いずれも、本件火災発生について、焼死した取締役が、何らかの理由で放火した疑いがあるとして、免責事由である本件火災についての故意または重過失ありとして、免責を主張し、支払を拒みました。
相談者は、各保険会社と粘り強く交渉しましたが、らちが明かず、弁護士に依頼し、訴訟を提起しました。
本件のような保険金請求訴訟においては、いわゆる「偶然性」の立証の問題もかかわってくることから、保険事故である火災の発生原因が問題となり、管轄消防署への調査(文書送付嘱託申請)、送付された書類内容についての意見、文書作成者である消防署署員に対する証人尋問、保険会社委託の調査会社作成の調査報告書記載内容に対する意見、焼死した取締役にかかわる親族、配偶者、元従業員に対する証人尋問など行われました。
結果は、裁判所の和解勧告により、いずれの保険会社とも、ほぼ満額で和解することができました。


自動車保険の盗難保険金

Xは、高級外車を所有、盗難保険に加入していたところ、イモビライザーが装着された高級外車が盗難被害にあったことから、保険会社に対し保険金請求をしました。
ところが、保険会社は調査会社の調査結果を理由に支払を拒否したことから、Xが、保険会社を被告として訴訟提起し、約1200万円の保険金の支払を求めました。
Xの自宅の駐車場については、スロープの形状等から積載車を用いて車輌を運び出すことができなかったことから、Xは、イモビライザーが装着されている原告の車輌については、犯人が原告の自宅に侵入し、合い鍵を用いて自走させたと主張しました。
現にXの自宅については侵入者があった形跡があり、かつ、車輌のスペアキーも紛失していました。
これに対し、保険会社は、車輌の被害届が出されていたがスペアキーの被害届は出されてない、住居侵入の被害届も出されていないとして、スペアキーによる盗難事件の可能性はない(換言すれば偽装事案である)と争いました。
このような保険金請求事件の場合、盗難されたということを請求者で証明しなければならないのかについて従来から争いがありましたが、これについては最高裁判所の判決により不要とされたことを受けて、裁判所はスペアキーの紛失の事実等から盗難された可能性があるとの判断をし、その他、Xには過去に盗難保険の受領がないこと、金銭に窮していたというような事実もないこと等を勘案し、Xの保険金請求を認めました。
確かに、盗難されたということまでの立証責任を保険金請求者側は負わないとしても、盗難されたという外形的事実(偽装をするような動機がないというのも考慮される。)の立証責任は保険金請求者にあるため、結局、保険金請求事件については、立証責任の所在により一義的に判断が下されるというよりは、関連事実の総合判断という要素が強いといえます。


保険会社が火災保険金の支払いをしなかったため、訴訟を起こし支払いをしてもらった事例

Aさんは、1人で小さな金属加工の工場を経営していましたが、その工場の一部から出火して、工場は全焼してしまいました。
Aさんは、火災保険金の請求をしたのですが、保険会社は、出火当時、Aさんが工場にいた可能性があること、Aさんには借金があり、経済的に困窮していたことなどを理由に、放火した疑いがあるとして保険金の支払いを拒否しました。
そこで、Aさんは仕方なく、弁護士に委任して保険金請求の訴訟を起こしました。
この訴訟の中で弁護士は、出火当時、Aさんが他の場所で食事をしていたことを証明するために、食事をしたレストランから伝票を取り寄せたり、また、工場の床の隙間にたまった金属の細かい屑から自然発火する可能性があることを証明したりしました。
この訴訟は2年かかりましたが、Aさんの主張が認められ、裁判所は、保険会社に保険金の支払いを命じる判決をしました。
保険会社は、高等裁判所に控訴をしましたが、そこでも結論は同じで、保険会社の不服申立ては棄却されました。
そして、Aさんは保険金全額の支払いと、さらに支払いが遅れたことによる年5%の割合による損害金の支払いを受けることができました。
火災保険金の支払いが拒否される理由は、多くの場合、放火の疑いがあるということなのですが、実際に放火をしていないのなら、訴訟をしてでも争うことが大切だと思います。


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