施設の滞納利用料を保証人から満額回収したケース

紛争の内容
高齢者の入居施設から,「入居者が多額の利用料を滞納しているため,出ていってもらう方法はないか」とのご相談を受けました。当初は,入居者の方に出ていってもらう方策も考えましたが,高齢の方を追い出すことは過酷な執行として禁止される可能性がありました。そこで,書面による保証人から債権回収する方法をとることにしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
交渉では話合いが平行線となりましたので,速やかに訴訟を提起しました。
訴訟の経過では,和解的話合いも行われましたが,折り合いませんでした。
結局,施設側の主張を全面的に認める,全面勝訴の判決が出されました。
その後,あらためて請求をしましたが任意の支払いに応じていただけませんでした。
そこで,やむなく強制執行(国家が関与して,債権者の権利を強制的に実現する制度)の手続に移行することとし,債務者(保証人)の所有する不動産を特定して,強制競売の申立てを行いました。

本事例の結末
強制競売の申立てを行った後,債務者から支払う旨の連絡がありました。
そこで,判決で認められた全額(遅延損害金を含む)と,強制競売の申立てに掛かった費用の支払いを条件として提示したところ,了承いただきましたので,強制競売を取り下げることとし,無事,滞納利用料の全額を回収することができました。

本事例に学ぶこと
保証人は,人的担保といいます。
保証契約を締結すると,主債務者が債務を支払わない場合に,保証人が債権者に対して債務を支払う義務を負います。もし,債務を支払わないと,債権者から訴訟を提起され,出された判決に基づいて,自分の財産に対する強制執行を受ける危険があります。
現行民法では,通常は意思表示さえあれば,口頭でも契約が成立します。しかし,保証契約の場合は,主債務者ではないのに上記のような義務を負うわけですから,例外的に,書面による意思表示がなければ無効とされています。なお,改正民法では,手続がより厳格となり,公正証書の作成が求められることになります。
ところで,当事者間に事実関係や契約の解釈等に争いがあれば,裁判所でその適否を判断してもらうしかありませんが,一旦,裁判所が判決を出し,判決が確定した場合には,強制執行の「債務名義」(いわば裁判所のお墨付き)となりますので,判決の内容を履行しないと,強制執行を受けることがあります。
本件では,判決を得て,強制執行の手続に移行しましたので,いよいよ債務者の財産が強制的に売却されてしまうことの現実味が帯びてきたこともあり,任意の支払いを受けることができたものと思います。
このように,任意に弁済していただくと,債務者は不動産などの財産を失わないで済む一方,債権者は強制執行の終了を待たずして金銭的な満足を得られますので,お互いにとって望ましい解決といえます。

債権回収のご依頼は,グリーンリーフ法律事務所までお問い合わせ下さい。

以上

仮差押と銀行取引の一時停止

A社はB社に対して、300万円の売掛金を持っていましたが、再三にわたる請求にもかかわらず、B社はその売掛金を払おうとしませんでした。B社は、A社から買った製品に欠陥があったから支払わないというのですが、A社にしてみれば、その主張は言いがかりとしか思えません。
このような場合、B社の財産を仮差押することを、まず考える必要があります。
仮差押とは、このケースで言えば、売掛金請求の訴訟をする前に、B社の財産を仮に差押えて、その財産を譲渡したり、隠したりすることができないようにする手続を言います。訴訟をする前に、相手の財産を差押さえるのですから、保証金というお金を法務局に供託しなければなりません(ただ、この保証金は、ほとんどの場合、訴訟が終わるなどして決着がつけば返ってきます)。
また、仮差押をする財産には、不動産、預貯金、動産などが考えられます。
B社の場合、不動産は持っておらず、また、動産と言っても机や椅子などしかなかったので、A社は、B社のC銀行に対する預金を仮差押することにしました。
通常、保証金は請求額20%程度なのですが、預貯金を仮差押えする場合は30%程度が普通です。
A社は、300万円の30%である90万円を法務局に供託し、裁判所での手続を経て、B社の預金を仮差押しました。
これで、B社は預金を下ろせなくなります。これが仮差押の本来の効果ですが、預貯金の仮差押の場合、銀行は、仮差押の申立が取り下げられるか、仮差押決定が取消されるまで、新規の融資をストップするのが通常です。
今回のケースでも、C銀行が、B社に対する新規の融資をしなくなったため、資金繰りに困ったB社は、A社に対して300万円を分割で支払うことを申し入れ、A社は無事、売掛金を回収することができました。
銀行から融資を受けて事業を行っているような会社の場合は、銀行預金の仮差押をすることは効果的な手段と言ってよいでしょう。


銀行預金、工事代金などの差押え(強制執行)

Xは工事下請業者であり、元請業者であるYに対し、工事代金の支払を求めましたが、Yは、発注元からまだ工事代金を受け取っていないなどといって支払を拒否しました。
そこで、XはYに対し、工事代金の支払を求める訴訟を提起し、勝訴判決を得ましたが、それでもYが支払をしていないため、勝訴判決に基づき強制執行手続をとることにしました。
Xは、Yの発注元を調べたり、工事現場等を調査しましたが、Yは、現在、工事を受注しているのか、完工済の現場があるかどうか判明しませんでした。
そこで、Xは、Yの銀行口座を差押えすることにしましたが、いわゆるメインバンクについての情報がなかったことから、Yの本社所在地近隣、Yの代表者自宅周辺の金融機関の支店(合計7箇所)に対し、銀行口座の差押えを実施しました。
銀行口座の差押えの結果、複数金融機関の支店の銀行口座について差押えができましたが、残高はわずかしかなく、満足のいく結果を得られませんでした。
銀行口座の差押えの場合、差押えができたとしても、差押え時の残高のみの差押えができるにすぎず、残高が僅少であれば、効果は薄くなってしまいます。
判決に基づき強制執行をするには、取引先等の売掛金等の差押えをするのが効果的であり、銀行口座の差押えについては確実な情報がある場合を除き、差押えが功を奏しない可能性が高いのではないかと思います。
なお、本件では、Yの代表者個人に対して支払を求めることができませんでしたが、仮に工事代金等の支払について代表者が連帯保証をしていた場合には、代表者の自宅等の差押えも可能となります。
したがって、このような事案では、事後に相手方の取引先を調査するだけでなく、事前に代表者の連帯保証を依頼しておくことも効果的と思われます。


委託料請求を受けた件について、和解による解決を図ることができた事案

紛争の内容
依頼者であるXは、Y社に給食の提供を委託していたところ、Y社が当初の契約とは異なる内容、人事編成で業務にあたっていたことから、Xが委託料の支払いを拒否したところ、Y社から当初の契約どおりの委託料請求を受け、訴訟提起をされました。私たちは、Xから依頼を受けたXの代理人です。

交渉・調停・訴訟などの経過
遠方の裁判所での訴訟となりましたが、すべて電話会議で訴訟手続を進めることができました。

本事例の結末
当初提出を予定していた客観的な証拠が入手できなかったことやXにとって有利な証人が証言することを拒否したため、苦戦を強いられることになりましたが、請求金額元金のカット及び遅延損害金もすべてカットする形での和解をまとめることができました。

本事例に学ぶこと
本件では、結果として和解による解決を得ることができましたが、Xにとって有利な証拠が当初の予定どおり入手できていれば、さらに良い結果を得ることができたかもしれません。やはり証拠を収集することは、特に訴訟において非常に重要になってくると思われます。


債権回収トップページに戻る