弁護士 田中 智美



猛暑のおかげで、エンジン始動から油圧・水温適正レベルへのメーター針の移動が、するすると早くて楽しい今日この頃です。

突然ですが、我が愛車に蟻の巣ができてしまいました。
嘘のような本当の話です。
拙宅のガレージは周囲を樹木に囲まれておりまして、ザクロや梅、ハナカイドウなど、見た目はとっても綺麗なのですが、いかんせん樹液や蜜を飛ばして来る木々ばかりなので、もともと車周りに蟻が多い傾向にはありました。
しかし、まさか、こんなことになるとは・・・。

最初に異変に気付いたのはひと月半程前のこと。
信号待ちの時にふと助手席の窓ガラスを見やると、ガラスの外側を小さな蟻が一列になって歩いておりました。
車を停めた時に確認すると、天井にも何匹か歩いていて、どこに行くのか目で追っていくと、左ドアミラーの付け根にある、パッキン(?)と車体との僅かな隙間に入って行くのです。その周囲には、蟻達が集めたと思しき、砂粒も散見されました。
この時は、「蟻も大変だなぁ。車と一緒に、こんな見ず知らずの所に運ばれてきちゃって」くらいにしか思わず、そのまま放っておきました。

次の異変は、その2週間後。
川越の裁判所に車で向かっている途中、シフトレバーの上に置いていた左手が何かムズムズするなぁと思って見やると、左手の上を蟻がちょこちょこ歩いていました。
前方に目を転じれば、フロントガラスの内側を蟻が一列行進。
気になって気になって、運転に集中できません。
裁判所の駐車場に着いて、恐る恐る助手席のドアを開けると、ドア枠の周囲1周を無数の蟻がうようよと動き回っており、よーく見ると、その中には半透明の白い卵らしき物体を抱えた蟻の姿も・・・。
ドア本体の水抜き穴からも複数の蟻が出入りしている模様。
「見なかったことにしよう」と呟き、そのままドアを閉めて、裁判へ。
裁判が終わると、車に乗り込み、なるべく助手席の方を見ないようにして発進。
しかし、運転中も彼らは放っておいてはくれません。ダッシュボードや天井をちょこまかと這っている蟻(単体)を見つけては、即“プチッ”(指で殺生する音)。
試しに、助手席の窓(パワーウィンドウ)を上げ下げしてみると、窓と車体の隙間からわらわらと蟻が湧いて出てきます。

蟻だから、まぁしょうがないかなどと、最初に甘い顔をしたのがいけなかったのです。
百歩譲って車体(車外)にとりついているくらいならいいですが、車内には入って来ないで欲しいですよ。
それにしても、彼らは一体、なぜ、車なんかに巣を作ってしまったのでしょうか。
我が愛車は車内での食事厳禁、飲み物もコーヒーやお茶、水などの砂糖の入っていないものしか許可しておりませんので、室内に蟻の餌になりそうな甘いものなんて存在しないはずなのです。

助手席ドアにうじゃらうじゃらと巣食った蟻。
一体、どうやって駆除したらよいのか。
途方に暮れつつ、次回に続く・・・。